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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ26

 自分の部屋に帰った菜那美は、ひとりベッドで仰向けに寝転がって、物思いに沈み始めた。

 窓の外からは、かすかにセミの声が聞こえている。

 まだ日は高く、室内にいても汗ばむほどの気温だった。

 そんな暑い部屋で、エアコンも扇風機もつけず、目を閉じる菜那美。

 菜那美はお腹に手を当てながら呟いた。

「まだ、熱い……。感触、残ってる……」

 陸翔が出してくれた液が胎内に残っている気がして、菜那美は幸せそうに微笑んだ。

 また、目を閉じていると、さっきまで中に入っていてくれた彼のシンボルの感触や形まで思い出されてきて、菜那美は嬉しいながらも少しだけ恥ずかしくなって、手で顔を覆った。

「夏休み……楽しみだなぁ」

 ところが、そんな楽しく幸せな気分も長くは続かなかった。

 去年までの夏休みのことを思い出したのだ。

 今まではずっと、夏祭りや花火大会など夏のイベントに、陸翔と二人で行っていた菜那美。

 プールや海などへも。

 しかし、今年からはそんな風に二人っきりで出かける機会もないだろうということは、菜那美にも容易に想像がついた。

 今はセフレという関係上、お互いの部屋へは一緒に入れるものの、一緒に出かけることはご法度だろうと考える菜那美。

「彼女がいるんだもんね……。二人で出かけるなら、それってデートだし……。私はもう二度とデートできない……」

 顔を手で覆ったままの菜那美だったが、さっきまでとは異なり、その手の下の表情は曇っていた。

 落ち込んでいく気分を振り払うかのように、陸翔のことに考えを移す菜那美。

 陸翔のことを思い始めるだけにも関わらず、僅か数秒で菜那美は下腹部が湿ってくるのを感じた。

「やっぱり、陸翔が好き……。陸翔以外の人を好きになんかなれないし……陸翔を諦められないよ……」

 菜那美は静かに泣き始めていた。

「陸翔がいないと生きていけないのに……。この気持ちを伝えることなんかできない……。陸翔には彼女ができちゃったから……。どうして……どうして、春休みのうちに、告白しなかったんだろう……。告白する勇気が出なかったんだろう……」

 そこで、ふと、この気持ちを伝えなくとも、陸翔に自然と知られてしまった場合のことを考える菜那美。

 菜那美は「自分は感情が顔に出やすい」と自覚しているので、あり得ない仮定ではなかった。

 そして、今度は青くなる菜那美。

「ダメ……今、そんなことを知られちゃったら、きっとセフレとしての関係も、友達関係も、どっちもおしまいになっちゃう! 気をつけなくちゃ……」

 菜那美はごしごしと涙を手で拭いて寝返りを打った。