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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ14

 その後、お互いの身体をシャワーで洗い流した二人は、バスタオルを身体に巻いて二階へと上がり、陸翔の部屋で二回戦目をすることに。

 部屋に入った二人がベッドへと入り、いよいよこれからというところで、陸翔のスマホが鳴った。

 ドキッとする二人。

 しかし、陸翔はスマホを確認しようとせず、そのまま菜那美の身体へと手を伸ばす。

 菜那美が、離れたところに置かれている陸翔のスマホを見ながら言った。

「電話かも。出た方がいいんじゃない……?」

「後回しでいいだろ」

 陸翔は逸る気持ちを抑えきれない様子だが、菜那美は鳴り続けるスマホが気になって気になって仕方がなかった。

 着信音はけたたましく鳴り響いている。

 菜那美がなおも言う。

「気になるから、確認だけしてみて」

「なんだよ……。ったく、しょうがないな」

 陸翔は渋々、菜那美から身体を離すと、ベッドから降りてスマホを手に取った。

 どうやら電話のようで、すぐに通話を始める陸翔。

「もしもし……。ああ、ちょっと今、忙しくて……。ああ、うんうん」

 電話相手の声が、何を言っているのかまでは分からないものの、その声の主が若い女性のように思われて、思わずビクッとする菜那美。

 陸翔の様子などから、その相手が間違いなく絵莉花というその彼女であると、菜那美は直感的に悟っていた。

 陸翔は明らかに早く電話を切り上げたがっている様子だ。

「それじゃ、また後で」

 そう言って、陸翔は電話を切った。

 すぐに菜那美に説明する陸翔。

「絵莉花から。大した用事じゃないらしい。ごめんな、待たせて」

「あ、ううん、気にしないで」

 ベッドに戻ってきた陸翔だったが、二人の間に何となく気まずい空気が流れた。

 陸翔はもちろん、菜那美との関係のことを絵莉花には伝えていないので、「隠し事をしている」という後ろめたさがあったのかもしれない。

 数秒ためらったあと、菜那美の方から切り出した。

「今日はもうやめておこっか」

 その言葉にホッとしたような表情を浮かべ、同意する陸翔。

 そして二人は、そそくさと服を着たのだった。

 その後、しばらく陸翔の部屋でたわいもないおしゃべりをしたあと、菜那美は帰ることに。

 名残惜しい気持ちは大きかったが、いつまでも居座るわけにもいかないので。

 菜那美は、陸翔の家のすぐ隣にある自分の家には入らずに、素通りする。

 そして、自身のお気に入りの場所へと向かった。

 二人の家の近くには、やや大きめの川が流れている。

 その川べりが、菜那美のお気に入りの場所だった。

 すでに夕方6時前なのだが、あたりにはまだ夕暮れの気配はうかがえない。

 川の流れは穏やかで、流れの真ん中に点在する中州には、白い鳥の姿もあった。

 菜那美は芝生のような地面に、ひとり腰を下ろす。

 そして、流れゆく川を見つめながら、物思いにふけった。

 考えることはもちろん、陸翔との関係のことだ。

 菜那美の正面に見えている中州には、ひとりぼっちの白い鳥が一羽、声も立てずにたたずんでいた。

 その鳥を黙って見つめる菜那美。

 菜那美は心底、絵莉花というその彼女が羨ましくて仕方なかった。

 しかし、いくら羨んだところで、どうにもならないということは菜那美自身分かっている。

「そもそも……これだけ長い間、友達関係が続いてるんだから……陸翔にとって私は恋愛対象にはなり得ないのかも……」

 常日頃から感じていることを、ひとり呟く菜那美。

 セフレになってくれたということで、少なくとも「女として見られていない」というわけではないとは思っていたが、それだけでは満足しきれない菜那美がいた。

 欲張りすぎなのかな、と思う自分も感じていたが、「彼女になりたい。恋愛対象として見られたい」と思う本心に嘘はつけない。

 菜那美はそれから数十分以上も、思い悩みながら一人っきりで川を眺めていた。