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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ8

「やっべぇ……やっちまった……! 菜那美、ごめんな! 失敗するとは思ってなかった……」

 面目なさそうにうつむきながら、そう言ってシンボルを抜き取ろうとする陸翔。

 しかし、直後に「うわっ!」と驚きの声が口をついて出た。

 菜那美の秘所から流血がみられたからだ。

 その血は一部、シーツを汚していた。

 大急ぎでシンボルを抜き去る陸翔。

「菜那美、大丈夫か?!」

 放心状態のまま、やっと起き上がった菜那美は、血を見ても全く動じない。

 挿入の瞬間に感じた、焼け付くような痛みから、このことは十二分に想像できたので。

「う、うん。もう血も止まってるみたいだし、大丈夫。シーツは洗濯してもらうよ……。お母さんには、『あの日』で汚れたって言っておくから」

 視線を自身の股間へと落とし、花びらや果肉を指で検(あらた)めながら、菜那美が言う。

 陸翔も見ているその場所からは、血と樹液が交じり合った液体が、にじみ出てきていた。

 即座に陸翔がティッシュを持ってきてくれて、二人で拭くことに。

 菜那美としては、大切な陸翔と結ばれた余韻が残っている現状で、さらにその上まだ股間をティッシュ越しに触ってもらえたので、喜悦が止まらない。

 だが、陸翔は依然として、冴えない表情のままだ。

「もし万が一、子供できてたら……責任は取る」

 陸翔のその言葉に、涙が出てくる菜那美。

 こんなことを言ってもらえるとは、想像していなかったのだ。

 そして内心、「それなら、赤ちゃんできているといいな」と思った菜那美だったが、むろん口には出さない。

 菜那美は「ありがとう」と一言言うと、股間を拭き終わり、陸翔の方を見た。

「菜那美、えっと……その……気持ちよかったぞ。菜那美は……?」

「私もすごく。痛かったのは最初だけで、とっても気持ちよくなれちゃった」

 照れ笑いをしつつ菜那美が答える。

 すると、陸翔が言いづらそうな様子で、菜那美から視線をそらして言った。

「えっとな……。菜那美さえよければ、またやらないか? もちろん、次からはゴムを使うから」

「えっ?!」

 耳を疑う菜那美。

 頭が混乱して言葉が出てこないようだ。

「菜那美が嫌なら、別にいいけど」

 相変わらず、不自然なほど菜那美と目を合わさずに、陸翔が言う。

「私も……したいけど……。で、でもね……。陸翔の彼女さんは……」

 少し冷静さを取り戻した菜那美が、気がかりになったことを伝えた。

「絵莉花とは、キスすらまだだから、身体の関係になるのは恐らくもっともっと先になるだろうな。二股をかける気はないから、絵莉花ともそういう関係になるのであれば、きっちり伝えるから。そのときには、関係を解消すればいいじゃん。ま、菜那美が嫌なら、この話は忘れてくれ」

 菜那美は内心、絵莉花という名の彼女には申し訳ない思いもありつつ、「陸翔が絵莉花と別れて、自分と付き合ってくれたらなぁ」と考えてしまっていた。

 そして、よくよく考えてみると、陸翔には絵莉花と別れる意思がなさそうなので、「依然として自分は、陸翔にとっては恋愛対象ではないんだ」ということを痛感する菜那美。

 悲しくなってきたが、ここで黙っていると拒否していると捉えられかねないので、菜那美は慌て気味に答えた。

「それって……その……身体の関係を続ける、ってこと?」

「うん、言ってしまえばセフレってところかな。菜那美も気持ちよかっただろ?」

「そ、それはそうだけど……。セフレって何?」

「セックスフレンド。知らないのかよ」

 その言葉をどこかで誰かから聞いたことはあった菜那美だが、あまりはっきりとはイメージが湧かなかった。

「俺とするのが嫌なら、別にこれっきりでいいぞ」

 陸翔の言葉に、反射的に菜那美は答えた。

「嫌じゃないよ! これっきりだなんて言わないで!」

 これっきり、という言葉に、別れのようなニュアンスを感じ、自然と言葉が口をついて出ていた菜那美。

 陸翔は急に満足そうな顔つきになり、菜那美に視線を戻す。

「じゃあ、今日から俺たちはセフレだな。改めてよろしくな、菜那美」

 そう言って、陸翔は手を差し出す。

 菜那美は、話の流れに自らがついていけていないことを感じながらも、その手を握った。