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天国の扉

猫好き男子と大人な部長25

 花火が終わった後、人混みの中を歩きながら修馬が言った。

「恐らく、電車もバスも混みまくってるだろうから、少し時間をずらさない? この後、何か用事ある?」

「特に何も予定はないよ。どこかへ連れてってくれるの?」

「うん、ちょっと行きたいところがあって。ついてきて」

「うん」

 修馬は、駅へ向かう人の流れとは逆の方向へ向かって歩き出す。

 架恋の手をしっかり握ったまま。

 二人は人通りの少ない坂道を、おしゃべりをしながら15分ほど歩き続けた。

 そして―――。

「着いたよ」

 そう言って前方を指し示す修馬。

 二人がたどり着いたのは、何の変哲もない小さな公園だった。

 不思議そうな架恋を連れて、修馬はゆっくりと公園の中へ入っていく。

 そして、奥にあるブランコを目指して歩き始めた。

「あっ!」

 ブランコのそばまで来て、架恋にもやっと分かった。

 修馬がなぜここに自分を連れてきたのか、その理由が。

 ブランコの向こうにはなぜか、背の高いフェンスが設置されており、その向こうには煌く夜景が広がっていた。

「うわぁ~、綺麗!」

 顔を輝かせ、思わず声をあげる架恋。

 そんな架恋の様子を、修馬は嬉しそうに眺めて言った。

「綺麗でしょ。これを見せたくて」

「ありがとう! 本当に素敵!」

 架恋は思わず修馬に抱きついた。

 周囲には二人以外に誰もおらず、木々のざわめきだけが聞こえている。

 空には夏の星座が瞬いていた。

 うっとりしてきた架恋は、そっと目を閉じる。

 修馬は少しかがみ込み、おもむろに唇を重ねてきた。

 涼しい夜風が吹き抜ける中、ぽぅっと熱くなる二人の唇。

 キスを終えた風香がゆっくりと目を開けると、星空をバックに同じく目を徐々に開いていく修馬の顔があった。

 不意に満面の笑みを見せ、右手を顔の高さまで持ってくる修馬。

 薬指に光るリングを見せる意図であることは、架恋にも分かった。

 架恋も同じように右手薬指のリングを修馬に見せて微笑む。

 修馬の愛と、二人の絆が、形となってお互いの指に光っているように思えて、架恋は喜びに胸をときめかせていた。

 続いて、強く強く抱きしめ合う二人。

 二人の間には、もはや言葉は必要なかった。

 その後も週末には逢瀬を重ね、二人はますます絆を深め、思い出を増やしていった。

 プールや海など、夏らしい場所へのデートも繰り返し、激しい夏の恋を満喫する二人。

 修馬のお盆休みはたったの三日間しかなかったが、その貴重な休みを全て、修馬は架恋との時間に割いてくれた。

 架恋にとっては、夢のような夏だ。

 架恋はやがて考え始めていた。

 修馬とのゴールインを。