スポンサーリンク
天国の扉

美術教師の羞恥デッサン87(藍里編12)

 藪下の後に続いて部屋に戻った藍里だったが、いまだ薬の影響下に置かれたまま、少し身体をモジモジさせてしまう。

 だが、藍里に後戻りは許されず、藪下の指令を受けて、モデル台へと戻るほかに道はなかった。

 そんな藍里に向かって、藪下が言う。

「そういえば水島は今日から参加ということで、私のデッサンの流儀や決まりごとについてもほとんど知らないんだったな。前回のデッサンについて、どういうことを行ったのか、春日井から説明してやってくれるか?」

 驚き息を呑む藍里。

 ああいう卑猥な結末に至った前回のデッサンについて平然と説明することなど、藍里にはすぐにできるはずもなかった。

 すると、頷きながら藪下が言葉を続ける。

「確かに、いきなり『説明しろ』と言われても、『どこから説明すれば?』と春日井が困惑するのも無理はない。じゃあ、水島のほうから、質問してもらうことにしよう。春日井はそれに答えるだけでいい」

 藍里は薬の影響で思考能力を低下させられていたが、そんな状態でもさすがに「そんなことに何の意味があるのだろう」という疑問を抱くほど、藪下のこの提案は不可解だった。

 そして、何となく漠然とした不安を感じる藍里。

 しかし、藍里には「はい」と答えて頷くことしかできない。

 水島はそんな藍里の様子を見て、ニヤニヤしながら問いかけた。

「じゃあ、質問! 俺は光範とも仲が良いんだけど、光範は春日井がデッサンモデルをやってることって知ってるの?」

 藍里は思わず、ビクッとしてしまう。

 それが何よりの答えではあったが、あくまでも藍里自身の口から明確な答えを聞こうと考えているのか、水島はじっと藍里を見つめて待っている。

 嘘をつくのが好きではない藍里は、恐る恐る答えた。

「その……まだ知らせてないけど……いずれ……」

「答えはイエスかノーか、どちらかだけでいいよ。ノーってことかぁ。じゃあ、次の質問!」

 威勢よく言う水島とは対照的に、藍里は戸惑いを隠せない。

 薬による責め苦も相まって、「早くデッサンを終わらせたい。質問なんかもうやめて」と藍里は心の中で願っていた。

 そんな願いも空しく、水島は次々と質問を浴びせていく。

 最初はポーズのことや、「疲れたかどうか」など、当たり障りのないものだったが、突然質問の性質が激変した。

「さっき休憩中、トイレの中でオナってた?」

「……?!」

 予想外の質問に絶句する藍里。

 しかし、水島は容赦なく尋ねる。

「ほら、正直にイエスかノーかで答えて。ウソついてたら、すぐに光範にバラすってことで」

 脅しに近い文句まで受けて、藍里は文字通りよろめいてしまった。

 答えが真実かどうかの証明など、水島にも薮下にも出来るはずがないのだが、何より藍里はウソをつくのが苦手であり、嫌いでもあるのだ。

 そのため、藍里はうなだれながら「はい」と答えた。

 それを聞き、ますますにたにた笑いながら水島が尋ねる。

「やっぱりしてたのか~。じゃあ、次の質問! 前回のデッサンのとき、藪下先生の指を、アソコに突っ込まれた?」

 水島は事前に、藪下から前回行われたことを全て聞かされているので、全ての質問に対する答えがイエスであることを知っている。

 その上で、藍里自らにそれらの卑猥な行為があったことを思い出させ、認めさせ、そして恥ずかしがらせるために、質問という形式で藍里に投げかけているのだ。

 口ごもる藍里に対し、水島が容赦なく言い放った。

「春日井が答えなかったり、ウソをついたと俺が判断した時点で、光範に全て話すことになるよ」

 こう言われては、藍里は白状せざるを得ない。

 藍里の小さな「はい」という声を聞いて、水島はさらに質問を続けた。

「指を入れられて、気持ちよかった?」

「…………はい」

 やや続いた沈黙の末に、ポツリと答える藍里。

 いつしか、水島の股間は反応を見せ始めているようだ。

 水島は興奮気味に、「それではとっておきの質問を」とでも言わんばかりの意気軒昂ぶりで言った。

「藪下先生とエッチした?」

「……!!」

 藍里が内心密かに恐れていた質問が、早くも来てしまった。

 かと言って、答えなかったり、ウソだとバレたりすると、光範の耳に入ってしまうというのだ。

 藍里がウソをついたとしても、当事者の薮下が証言すれば、すぐにバレてしまうことは藍里にも分かっている。