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天国の扉

ちょいS部長の羞恥レッスン37

 藤崎に促され、先に浮き輪の上へ座り込む璃子。

 先ほどのカップルと全く同じように、藤崎は後から乗り込んできて身体を密着させた。

 もう何度も肌を合わせた仲とはいえ、こういう人に見られる場にてこんなことをされると、璃子はどうしてもドキドキしてしまう。

 追い討ちをかけるかのように、藤崎は自然な挙措動作で、背後から抱きしめるような格好で、璃子のバストとお腹に両手を当てた。

 ますます密着してしまい、璃子の顔色は赤くなり、喉は渇くばかりだ。

 すると、すぐ背後にいる藤崎よりもさらに遠くの方から、誰かの会話が聞こえてきて、璃子の注意を引いた。

 どうやら、順番待ちの列にいる若い女性たちの会話のようで、「あの男の人、かっこいいね」「身体も引き締まっててがっしりしてるし、素敵だなぁ」「あんなイケメンにギュッとしてもらってる彼女さんが羨ましい」などと、口々に言っている。

 璃子は悪い気は一切せず、それどころか、むしろ少し嬉しくなってしまった。

 しかしながら、照れくささや恥ずかしさも当然あるので、振り向き加減になって小声で言う。

「人が見てるので……」

 ところが、これを聞いた藤崎が、璃子には思いも寄らない行動に出た。

 右手で璃子の左バストを掴み、軽く揉みはじめたのだ。

 周囲を確認する璃子だったが、幸いにも角度的に、係員を含め他の人には、藤崎の行動がはっきりとは見えないらしい。

 それでも狼狽する璃子の耳元で藤崎が言った。

「誰にも見えてないから大丈夫だ。ただ、璃子が声をあげるとバレるかもな」

 そして、藤崎の手は遠慮なく、璃子のバストやお腹を這い回る。

 また、藤崎はさらにグッと璃子を抱き寄せたこともあり、璃子はお尻に当たっている硬いモノの感触が気になりだした。

 それは反応を始めた藤崎のシンボルだと、璃子にも容易に分かる。

 ドキドキしつつも内心、「こんなこと、バレたらどうするの?!」と叫ぶ璃子は、ひたすら黙って耐えながら、係員からのゴーサインを待っていた。

 お尻に感じる硬い感触は、どんどん強まっていく。

 璃子自身も、秘所が濡れ始めるのを感じ、焦りを増長させていった。

 興奮してしまっていることが何より恥ずかしく、グッと唇を噛み締める璃子。

 璃子にとっては長く感じられた数十秒が過ぎた後、係員が後ろから声をかけてきた。

「では、スタートです」

 その声に、藤崎が「はい」と小さく返すと、二人を乗せた浮き輪がおもむろに前進し始めた。

 浮き輪が進み始めると、今の今まで行っていたイタズラめいた行為をピタッとやめ、璃子の腹部にしっかりと手を回す藤崎。

 背後から包み込むように抱き寄せられ、璃子はまるで守ってもらっているかのような安心感を感じ始めていた。

 その不思議な感覚に、璃子はドキドキしつつも少し戸惑ってしまう。

 いまだかつて経験したことのない気持ちだったからだ。

 二人を乗せた浮き輪は、ものの数秒後には、みるみる速度を上げていった。

 本来であれば、多少はスリルを感じるはずの璃子だったが、藤崎のたくましい腕に包み込まれている今は、ほとんど感じていない。

 しかし、決してそれが残念などとは感じておらず、むしろ心地よさにも似た感覚が璃子を包んでいた。

 スピードに乗った浮き輪が、水しぶきをあげながら、ダイナミックにコーナーを曲がっていく。

 楽しさから自然と笑顔になった璃子は、声が後ろの藤崎に聞こえるかどうかは分からないものの、「けっこう速いですね」と言ってみた。

 その声が聞こえたようで、藤崎が言葉を返す。

「こんなものだろ」

 言葉だけで判断するといつもどおりの冷静さだが、声の調子やトーンなどの僅かな違いから、藤崎がそれなりに楽しんでいるらしいことを璃子は悟った。

 そして、それが分かると、璃子はますます楽しくなってくる。

 コーナーに差し掛かり、浮き輪の角度が大きく傾くたび、璃子は遠慮なく大きな歓声をあげた。

 背中とお腹に、確かな温もりを感じながら。

 やがて、浮き輪はゴールへとたどり着き、コース終点から軽くジャンプして、プールの水面へと着地した。

 すぐに係員が「お疲れ様です」と言って近づいてきたので、立ち上がって挨拶をし、浮き輪を返却する二人。

 璃子がふと気づくと、さほど近くからではないものの、二人のことをじっと見ている人が何人もいたので、顔が熱くなるのを感じた。

 璃子としても、「ウォータースライダーの出口を見ている人がいても不自然ではない」「一つ前のカップルも自分たちと同じような体勢だった」と分かってはいたのだが、それでも、藤崎に後ろからしっかり抱きしめられている場面を、複数名の人に見られたことは恥ずかしくないわけがない。

 藤崎は脇目も振らず、その場を離れるために、水中を移動していく。

 璃子は周囲の視線を避けようと、藤崎の影に隠れるような格好で、そっと後に続いた。

 プールサイドに近いところまで歩いてきてから、藤崎はくるりと璃子の方へ振り返る。

 まだ顔が赤い璃子は、照れ隠しの意図もあって明るく言った。

「楽しかったです」

「少しは機嫌が直ったようだな」

「え?」

 さりげなく言われた一言に、少し驚く璃子。

 璃子は心の中で、「もしかして、さっき私が取り乱していたから? それを気にして、『機嫌が直るように』って思って、ウォータースライダーに誘ってくれたのかな。もしそうなら、全然部長らしくない行動だけど、嬉しい。でも……まさかね」などと考えていた。

 あんなに取り乱していたことが今となっては恥ずかしくなってきたので、璃子はどうしても否定したくなって言う。

「そ、そんな……不機嫌になどなってませんよ」

「それならそれでいい」

 気のない様子で言う藤崎を見て、璃子は「やっぱり私の考えすぎだったかも」という気がしてきていた。