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天国の扉

美術教師の羞恥デッサン42(亜美子編6)

 そして、ポーズの指示が始まった。

 膝くらいの高さの台が、薮下によって用意され、亜美子の身体の前方に置かれることに。

 亜美子が右足を上げて、その台の上へ乗せるポーズのようだ。

 薮下の指示を受け、上体をやや前傾させ、上がっている右膝の上へ両手を重ねて置く亜美子。

 バランス的に安定しており、心ひそかに「このポーズなら、素人で初モデルの私でも10分間じっとしていられるかも」と思った亜美子だったが、大問題なのはそこではなかった。

 右足をそこそこ高く上げるということは、必然的に脚を開くこととなり、薮下のいる正面からでも、割とはっきりと花裂が見えるようになってしまったのだ。

 薮下の視線が股間へ向いていることに気づき、亜美子は心の中で「うわぁ、またこれ絶対、アソコの中まで見られてる。超恥ずかし……何でもない」と呟く。

 花蜜で濡れ光っている花裂を再び目にして、藪下は満足げな表情を浮かべていた。

 そのとき偶然、薮下の股間が膨らんでいることに気づき、亜美子は一瞬ギョッとする。

 それから亜美子は心の中で、「げげっ! ヤブッチ勃起してる?! いやらしい目で見ない的なことを言ってたはずじゃん! まさかとは思うけど……いくらヤブッチでも、アタシの身体に触った時点で、思いっきり張り倒すよ! そして訴えてやる!」と息巻いた。

 裸を見られたことで、興奮してしまっていたことも、亜美子本人は認めていないつもりなので、強気を保つことができるのだ。

 思いっきり膨らんだ股間を隠そうともせず、藪下は自分の椅子へと戻りながら、窓際の掛け時計を指差して言う。

 今日一番大きな声で。

「それでは、今から10分間としよう! 開始!」

 こうして、ヌードデッサンが始まった。

 いざ、そうして無言でじっとしていなくてはいけない時間が続くと、ものの3分もしないうちに身体がキツく感じられる亜美子。

 ただ、そんなことよりもやはり、薮下の熱心な視線のほうが、亜美子は気になっていた。

 先ほど、藪下が勃起していることに気づいてしまったことにより、「エッチな意図で見てるんじゃないだろうか」という猜疑心を亜美子は持ってしまっている。

 藪下に視線を向けられるたびに、亜美子は居心地の悪さと戸惑いを感じていた。

 亜美子には、藪下が乳首や股間へと視線を向けている時間が特に長いように思えてしまう。

 恋人でもない男性の部屋に入り、全裸を披露した上に、性器の奥まで見られている―――そんな現在のシチュエーションを、亜美子は努めて深く考えないようにしていた。

 考えれば考えるほど、羞恥と狼狽が増すばかりで、何の得にもならないので。

 そうして、亜美子は静止し続けていたが、デッサン開始から5分が経過した辺りで、明らかな異変が彼女を襲うことに。

 身体中が異様なほど、急激かつ急速に火照り出したのだ。

 ペットボトルのお茶に仕込まれたものと、クリームとして全身に塗られたもの、2つの媚薬がその牙をむき始めたのだった。

 そんなこととはつゆ知らず、突然の異変に内心慌てふためく亜美子。

 亜美子は心の中で「えっ、何だろう?! 身体が熱くて、変な感じ! まさかアタシ……ヤブッチにアソコの中まで見られて興奮を……いや、そんなはずないって! でも、マジでこれ、何なんだろう?!」とパニックになりかけながらも、身体はじっと静止させたままだ。

 それからまもなく、亜美子にとって地獄のような時間が始まってしまった。

 未桜同様、強烈な尿意に襲われ始めたのだ。

 その苦痛はあまりに強烈で、亜美子の額には瞬く間に脂汗が浮き出てしまう。

 青ざめながら亜美子は内心「うわぁっ! なんでこんなときにトイレへ行きたくなっちゃうんだよ。しかもこれ、いつものよくある感じじゃ全然ない! 今すぐトイレへ行かないと、身体が壊れてしまいそうなほど苦しいっ! もうダメ!」と叫ぶ。

 次の瞬間には、亜美子は大声で言っていた。

「藪下センセ! すみません! どうしても今すぐトイレへ行きたいから、いったん中断お願いしますっ!」

 だが、藪下は表情一つ変えずに答える。

「だから、事前に『トイレは今のうちに』って頼んでただろう。今さら、そんな聞き分けのないことを言わないでくれ。あと5分以内に終わるから、休憩時間までもうちょっと我慢してくれ」

 心ひそかに「温和なこの先生なら、トイレへ行くのを認めてくれるかも」と期待していた亜美子は、途端に絶望の淵へと叩き落されたような気分になる。

 薮下の言っていることは、至極もっともだと心のどこかで理解しながらも、身体のほうが未曾有の緊急事態のため、「何としても、今すぐトイレへ行きたい」という強い思いが亜美子の心の大部分を占めていた。

 ポーズを続けることも難しい状況となってきた亜美子は、苦悶に顔を歪め、身体を震わせながら、声を絞り出す。

「うぅ……もう病気になりそうなほど、つらくて……」

「ん? 弱音を吐いているのか?」

「ち、違いますっ! でも……今すぐ……」

 こんな状況下においても、「弱音を吐いている」などと他人から思われるのは、プライドが許さない亜美子。

 心の中で「あと4分くらい」などと自分に言い聞かせても、そのたった4分が我慢できそうにないほど、亜美子は急速に追い詰められていった。

 亜美子の額には大粒の脂汗がにじんでいる。