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天国の扉

ちょいS部長の羞恥レッスン10

 数十秒後、依然として璃子と一つに繋がったまま、藤崎が声をかけてきた。

「予想以上だったぞ。よくやった」

 まさか褒め言葉をかけられるとは思ってもいなかったので、驚いてハッと我に返る璃子。

 次の瞬間、藤崎が上体を前傾させてきたかと思うと、璃子の唇にキスをしてきた。

 藤崎らしからぬこの行動により、この上ない衝撃を受け、璃子は思わず固まってしまう。

 それと同時に、隠しきれぬほどの喜びが湧いてくるのを璃子は感じていた。

 藤崎以外に璃子が交わった唯一の相手である友則はいつも、すぐに身体を離したあと、タバコに火をつけるのが常だったのだ。

 普段は友則の事を「優しい」と思うことも多かったが、性交の後に限り、「終わった後も、もうちょっとだけでも、優しくしてほしいなぁ」という少しの不満はあった璃子。

 それだけに、藤崎のこの行動が意外かつ嬉しかったといえる。

 璃子は相手が藤崎だということをすっかり忘れ、目を閉じて甘いキスを味わっていった。

 体内にとどまる熱い感触に酔いしれながら。

 しかし、それもほんの僅かな時間のことだった。

 唇を離すと、藤崎は再びスッと状態を起こす。

 普段どおりのポーカーフェイスを璃子に向けて、藤崎は黙ってシンボルを抜き取っていった。

 完全にシンボルが抜き取られると、花裂からたらりと一筋、白濁液がこぼれ出る。

 藤崎が放出したばかりの白い液が。

 後始末を済ませると、藤崎が元通り服を着ながら言った。

「俺は書斎で仕事の続きをする。寝るにはまだ早すぎるだろうから、璃子は好きに過ごせ。冷蔵庫の中のモノを勝手に取ったり、室内を荒らしたりしない限り、リビングやこの寝室に置いてあるものは好きに使っていい」

「は、はい……」

 すると、全裸で布団に座ったままの璃子には見向きもせず、藤崎は寝室を出て行った。

 その後、ブラは着けずにショーツだけ穿き、パジャマを着た璃子は、リビングでテレビを見ることに。

 だが、「上司の自宅」だということが常に頭から離れないため、決してくつろいだ気分になることはなかった。

 乗り気ではないこの関係が、まだ始まったばかりで先が長いということも、璃子を憂鬱にさせる。

 先ほどの羞恥プレイや性交によって、自分があれほど感じさせられ、快楽を享受してしまったことを、璃子は心底「忘れたい」と思っていた。

 そして、我を忘れて藤崎を求めた上に、事後のキスに少しドキドキしたことも。

 テレビに全く集中できない璃子は、落ち着かない気持ちできょろきょろ辺りを見回す。

 綺麗好きな藤崎らしく、リビングは何度見ても、隅々まで整理整頓が行き届いていた。

 そんなとき、ふと璃子の視線が、部屋の隅に置かれたバッグに留まる。

 それはビジネス用には見えるものの、藤崎が普段職場へ持ってきているモノよりやや小さめだった。

 璃子の目を引いたのは、そのバッグ本体ではない。

 ではどこなのかというと、ファスナー部分に取り付けられている、小さなウサギのぬいぐるみ付きストラップだった。

 思わず、自分のスーツケースを引き寄せ、取り付けてあるストラップを手に取る璃子。

 そして再び、藤崎のバッグに取り付けられているストラップを見つめた。

 どちらも同じように、ウサギの小さなぬいぐるみ付きだ。

 ただし、見た目や大きさ、色などがかなり異なっており、「似ている」とは言い難かったが。

 それでも、藤崎のイメージにはあまりにもそぐわない、このストラップを見て、璃子は「部長には意外と可愛い趣味もあるみたい。「ウサギ好き、動物好き」なら、実は私たち、かなり趣味が合うのかも」という気がしていた。

 しばらくリビングで漫然とテレビを見ていた璃子だったが、全然楽しめず溜め息をつく。

 その後、もう一度シャワーを浴びなおし、歯磨きなど寝る前の支度を全て終えた璃子は、テレビのチャンネルをコロコロ変えながら、時間をつぶしていた。

 深夜0時前になって、ようやく藤崎がリビングを覗きに来てくれた。

「そろそろ寝ないか」

 璃子は振り返ると、背筋をしゃんと伸ばして答える。

「あ、部ちょ……高虎さん! その……さっき、シャワーをもう一度浴びさせていただいた後、寝る前の支度は全て済ませました」

「そうか。別にそんな報告はいちいちしなくてもいい。じゃあ、先に寝室へ行っておけ」

「はい」

 再び緊張感に包まれた璃子は、スッと立ち上がると、寝室へと引き返した。