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天国の扉

怪しい媚薬の研究所40(桜子&徹編3)

 桜子は、ふと尿意にも似た感覚を下腹部に感じ、席を立って言った。

「ちょっと、お手洗いへ行ってくるね」

 問題用紙に取り組んだまま、徹は「ああ」と答える。

 桜子はゆっくりとドアへと向かい、ドアノブに手をかけた。

 しかし―――。

 幾ら回しても、ガチャガチャと音がするだけで、ドアは開かない。

「あれっ?」

 桜子が不審そうに声をあげた。

 その声を聞き、徹が後ろを振り返って桜子に尋ねる。

「どうした?」

「ドアが開かないの」

 依然として、ドアノブを左右に必死で回しながら桜子が言った。

「何だそれ。ちょっと俺にやらせろって」

 そう言うと、徹は立ち上がり、桜子のもとへ歩いてくる。

 そして、桜子に代わってドアノブに手をかけ、回しながら言った。

「ホントだ。くっそ、故障かよ!」

 徹は何度もドアノブを回しながら、力任せにドアを押した。

 しかし、ドアはびくともしない。

「まずいな……なんだか俺も、お手洗いに行きたくなってきたのに……」

 桜子の感じる下腹部の不快感と同じものを、徹も感じ始めたようだった。

 とうとう、薬が牙をむき始めたのだ。

 溜め息をつきながら言う桜子。

「どうしよう……」

 すると、何かを思いついた様子で、徹は椅子まで戻ると、バッグからスマホを取り出して操作した。

 どこかに電話をかけている様子だ。

 このとき、徹は宮元に教えられた番号に電話をかけていたのだったが、宮元が電話に出るはずがなかった。

 幾ら待っても電話に出てもらえず、徹は忌々しげに電話を切って言う。

「くっそ! どうして出ないんだ!」

 万策尽きたのか、桜子と同じく呆然とした様子の徹。

 そうこうしている間に、下腹部の違和感がいっそう強まったらしく、徹は素早く椅子に座ると、脚をもぞもぞ動かした。

 一方の桜子もまた、同じ感覚に苦しみ続けており、むしろ徹よりも切羽詰った状況だったといえる。

 席へ戻ることすらできずに、その場でかがみ込むと、脚をガクガク震わせていた。

 既に桜子には分かっていたのだ。

 この感覚が尿意ではないということが。

 そこで、徹が桜子の方へ向かずに、椅子に座ったままの体勢で声をかけた。

「これはまずいな……。いったい、なんでこんなにお手洗いが近くなってるのか、意味不明だけど……。緊急事態だし、最悪、この部屋でするしかないな」

 ドアノブに手をかけ、うつむきながらしゃがみ込んでいる桜子は、徹に答えることすら困難な状態だった。

 桜子の額には、脂汗がにじんでいる。

 苦痛に身じろぎしながら、声を絞り出すようにして答える桜子。

「で……でも……。こんなところで、しちゃったら……怒られるんじゃ?」

「そうも言ってられないだろ。ぐ……」

 脚をせわしなく動かしながら、うめき声をあげる徹。

 徹のボトムスの股間部分は、とうに大きく膨らんでいた。

 椅子に座っている、この体勢でしか、股間の膨らみを桜子から隠せないので、徹はその場から動けないようだ。

 桜子の場合は、もっと差し迫った状況だった。

 秘所から花蜜が止め処なくこぼれ出て、ジーンズの下のショーツを濡らし続けているのを自覚する桜子。

 高まり続ける性的興奮に苛まれ、桜子は身もだえしながら、その感覚が薄まるのを待っていた。

 当然ながら、薄まることなどあり得ず、興奮は高ぶるばかりだったが。

 しばらく無言で堪え続けていた二人だったが、桜子の我慢は既に限界に近づいていた。

 思わず「あぁん」と声をあげてしまい、慌てて口をふさぐ桜子。

 しかし、幾度も幾度も、声はどうしても口をついて出てしまっており、徹がそれに気づいて言った。

「苦しそうだな、桜子。俺、こっち向いてるから……そこで、してもいいぞ」

「あぁん……。ご、ごめんね……」

「俺に謝る必要なんかないって。ティッシュやハンカチは、持ってるか?」

「持ってるんだけど……。あぁっ……。取りに行けない……」

「じゃあ、俺のを貸してやるよ。俺が……」

 言いかけて、口をつぐむ徹。

 徹は気づいたのだった。

 もし、ティッシュやハンカチを桜子のもとに持っていくと、そのときに、股間のふくらみに気づかれてしまうということに。

 徹の言葉が途切れた理由を、桜子は全く不審には思っていなかった。

 なぜなら、徹も苦しんでいることを知っていたので、「会話がしづらいほどに苦しいんだろう」と想像したからだ。

 自身がまさしく同じ状態だったので、桜子としてはそういう想像をしてもおかしくない状況だった。

 すると、徹が意を決した様子で立ち上がると、膝を震わせながらも、ポケットティッシュとハンカチを手に、桜子のもとへ歩き出す。

 空いている方の手で、股間を隠すことを忘れず。

 もっとも、隠し切ることは不可能だったのだが。