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天国の扉

怪しい媚薬の研究所19(朋香編7)

 鈴木が口を尖らせて言う。

「宮元さんばかりずるいですよ、所長。私にもチャンスをください!」

 他のスタッフも口々に同調した。

 苦笑する莉央菜。

「この人数を入れ替わり立ち代り毎晩相手にしてたら、私の身体が持たないわ。だから、却下ってことで。そうね、別の形でみんなにはチャンスをあげるから。今回は宮元君だけってことで。それで、宮元君……どっちにするの? 早く決めて」

「じゃあ、イエスで!」

 勢い込んで言う宮元。

 宮元はそもそも莉央菜と最初に出会って以降、莉央菜と寝たくて寝たくて仕方なかったようで、どちらにしようか考えているときの顔は真剣そのものだった。

 莉央菜が確認する。

「つまり、あの二人もエッチするってことね?」

「はい、そちらにします」

「分かったわ。もしこの実験が成功すれば、明日の晩は宮元君のたくましいモノで、私をめちゃくちゃに突いていいわ」

「よっしゃ! ……あ、すみません」

 思わず素になって喜んでしまい、慌てて敬語で謝る宮元。

 莉央菜の裸を妄想したのか、早くも宮元の股間は膨らみ始めているようだ。

 その必死すぎる様子がおかしいのか、莉央菜はくすくすと笑った。

「うふふ。じゃあ、どちらになるか、じっくり見てみましょ。ほら、三浦君がスッポンポンになって、沢下さんのいる露天風呂へと向かったわよ。いよいよね」

 全員の視線が、再びモニターへと戻った。

 三浦はゆっくりと露天風呂に近づいていく。

 小さな手ぬぐいで、ギリギリ股間部分を隠しながら。

 ちらっと三浦が歩いてくる方を振り返った朋香は、目で会釈したあと、すぐに「沢下と申します。よろしくお願いします」と言った。

 立っている田中に再びお辞儀をしたあと、湯に足を浸けながら三浦が挨拶を返す。

「三浦っす。よろしく」

 そして、無遠慮な視線を朋香の肢体へと這わせながら、三浦が続けた。

「こんな可愛い子と恋人っていう設定かぁ。こりゃ、ツイてるなぁ」

 朋香は内心「この人、苦手かも」と思っていた。

 思わず、自分の身体に視線を落とし、手ぬぐいでしっかり隠せているか再確認する朋香。

 幸い、手ぬぐいはズレてはおらず、肩から下は全て湯の中ということもあって、胸や下腹部はちゃんと隠せているようだ。

 いくら苦手な相手でも、これから行われる撮影では一緒に被写体となる人なので、険悪なムードを作りたくない朋香は愛想笑いと共に言った。

「そんな、可愛いだなんてとんでもない。よろしくお願いしますね」

 相変わらず、じっと朋香の全身を見つめながら、三浦は「うん」と答える。

 薬のせいなのか、はたまた三浦が勝手によからぬ妄想をしているせいなのか、三浦の股間は手ぬぐいの下で、むくむくと反応しているらしい。

 そんなとき、またしても戸が開けられる音がして、鈴木と佐藤が姿を見せた。

 そして、鈴木が田中に向かって、大きめの声で呼びかける。

「おーい、田中! 機材がトラブってるから来てくれ!」

 すると、依然として撮影機材と格闘中の田中が、眉間に皺を寄せながら答えた。

「うーん、どうしたものか……。こっちも調子が良くないぞ」

 それを聞いた佐藤が言う。

「そっちもか……。困ったもんだな、全く。幸い、予備が車の中にあるけど。とにかく、田中も来てくれ」

 そんな三人のやり取りを、朋香は心配そうに聞いていた。

 三浦の方は、聞きながらも、たまにちらちらと朋香の方を見ていたようだったが。

 田中は、鈴木と佐藤の方を向いて頷くと、三浦と朋香に向き直って申し訳なさそうに言った。

「申し訳ないですが、どうやら機材トラブルが複数起きてしまったようです。予備の機材を準備いたしますので、今しばらくお待ちいただけますか。10分ほどもあれば、準備は全て整いますので。お二人がのぼせてしまわれぬよう、大急ぎで準備いたしますね」

 予期せぬ事態だったので、朋香は小さく「はい」と答えることしかできなかった。

 三浦も特に不平を言うことなく、「了解っす」とだけ答える。

 了解しえもらえたと判断した田中は、「それでは」と言って一礼した後、鈴木と佐藤と共に、館内へと戻っていった。

 露天風呂には、朋香と三浦が二人っきりで残されることに。

 鈴木と田中と佐藤は、予定通りに、莉央菜たちの待つ部屋へと帰ってきた。

 莉央菜が元気良く声をかける。

「三人とも、おかえり! もうすぐお楽しみの時間が始まるはずだから、さぁ早く座って」

 露天風呂にいる三浦と朋香には聞こえるはずがないのに、なぜか小声で挨拶した三人は、言われたとおりに腰を落ち着ける。

 莉央菜が言った。

「もうすぐよ。きっともうすぐ薬が効き始めるわ」

 一同は食い入るように、モニターを凝視していた。