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天国の扉

怪しい媚薬の研究所17(朋香編5)

 フロントにて貴重品を預けた後、宮元と別れた朋香は、一人そそくさと温泉へと向かう。

 緊張のために顔を若干こわばらせて。

 廊下から外を眺めると、枯山水が目に入ってきた。

 細々とした石が織り成す美しい庭だったが、これから始まる撮影に緊張している朋香の心をほぐすことはできないようだ。

 廊下の先に、引き戸があり、上に貼られたプレートに「湯」とあったので、すぐに朋香は「ここだな」と分かった。

 静かに戸を開け、中に身体を滑り込ませる朋香。

 喉が渇いてきたのは、さっき口にしたお茶の中に仕込まれた薬のせいだった。

 しかし、そんなことを知る由もない朋香。

 単に「緊張のせい」だと思い込んだまま、脱衣所の床に張られた冷たい板の上に、その白い素足で踏み込んでいった。

 脱衣所は非常にシンプルで、旅館内の他の場所と同じく、ここでも木製のものが目立った。

 大きな棚に、幾つものカゴが置かれている。

「ここに服を入れるのだな」と理解した朋香は、手にしていた手ぬぐいをいったん置いて、大急ぎで服を脱ぎ始めた。

 もたもたしていると、男性モデルがやってくる可能性があると思ったので。

 濃紺のワンピースを脱ぎ去り、カゴに入れる朋香。

 靴は玄関で、帽子と靴下は部屋で、すでに脱いであるので、あっという間に下着姿だ。

 脱衣所からは温泉の様子は一切確認できないながらも、「誰かが先にいて、こちらへ来ないだろうか」と心配になり、奥をうかがう朋香。

 しかし、「ここでもたもたしている方がまずい」と思い直すと、意を決して下着に手をかける。

 ちょうどそのときだった。

 戸がガラガラと開けられ、朋香は仰天した。

 現れたのは、高身長でガタイのいい、田中という名の男で、莉央菜の部下だ。

 朋香は咄嗟に両手で身体を隠す。

 田中はあまり驚く様子も見せずに、申し訳なさそうに言った。

「まだお着替えの最中でしたか、申し訳ございません。撮影用機材のセッティングに来ました。私のことは気にしないでくださいね」

「は、はい……」

 消え入りそうな声で答える朋香。

 心の中では「気にしますよ!」と思っていたのだが、口には出さない。

 実は田中が来た理由は、機材のセッティングのためではなかった。

 真の目的は、単純に、脱衣中の朋香の羞恥心を煽るだめだけだったのだ。

 さらに言うならば、撮影用機材のセッティングも、実際には全く不要なことで、朋香や男性モデルに怪しまれないようにという意図での行為でしかなかった。

 なぜなら、既にこの露天風呂には数多くの隠しカメラが設置されていたのだ。

 脱衣所にも二つ、隠しカメラは仕掛けられていたのだったが、朋香は全く気づいていない。

 田中は莉央菜の言いつけどおり、露天風呂の方へすたすたと歩いていくと、大きなカメラや三脚をセットし始めた。

 それも、あえて脱衣所の方に、顔と身体をときどき向けながら。

 田中に見られていることは、朋香にもはっきり分かったのだが、露骨に注視されているわけでもないので、抗議することもできなかった。

 田中から「気のせいですよ」などと言われるとそれまでなので。

 もっとも、実際には気のせいなどではなく、田中は本当にちらちらと朋香を観察していたのだが。

 朋香は、田中に背を向けると、震える手でブラのホックを外した。

 そして、ブラを取り去ると、ショーツも下ろし、足から抜き取る。

 こうして、朋香は全てを脱ぎ去り、その白くて美しい裸身を白日の下に晒した。

 田中の方からは、身体の前面は見えないものの、形が良く引き締まったお尻や、シミひとつない背中、すらっと伸びた脚などが丸見えだ。

 また、隠しカメラのうちの一つには、身体の前面もばっちり写されてしまっていた。

 薄ピンク色をした初々しい乳首や、小さめの乳輪、黒々と生える茂みなどを、隠しカメラはしっかりと捉えている。

 朋香本人は全く知らないうちに。

 朋香は、すぐさま、白い手ぬぐいを手に取ると、広げて身体に当てる。

 ところが、手ぬぐいは予想していたよりも遥かに小さく、秘所はどうにか隠せるものの、バストは乳首を隠すのがギリギリの状態で、張りのある胸の大部分が露出してしまっていた。

 焦る朋香だったが、今さら引き返すことも、キャンセルすることもできない。

 右腕でバストを、左手で下腹部を、それぞれ押さえて、なるべく見えないように努力しながら、朋香は、田中のいる露天風呂の方へと歩みを進めた。

 朋香が近づいてくるのに気づくと、田中が愛想笑いを浮かべて声をかける。

「もうまもなく、もうお一方もモデルさんや、他のスタッフも到着されますので、今しばらくお待ちくださいね。温泉に浸かっていただいてもかまいませんよ」

「は、はい……」

 顔を真っ赤にして答える朋香。

 湯に入った方が、身体を見られにくいのは明らかだったので、朋香は早速その白い脚を湯の中へ沈めていった。

 相変わらず、機材を触りながら、ちらちらと朋香の方を確認する田中。

 しかし、朋香は鉄壁ガードを貫いているため、肝心の乳頭や茂みなどは一切確認することができなかった。

 それでも、「後で隠しカメラの映像を、研究所内の全員で確認できる」と聞いているためか、田中の表情に残念さや苛立ちなどは一切見られない。

 あくまでも、機材の設置に集中している風を装っていた。

 それに、湯に入った朋香はすぐに、田中の方へ背を向ける体勢で、湯の中にしゃがみ込んだので、田中の方からはほとんど何も見えないことに。

 ただ、この日の朋香は撮影のために髪をアップにしていたので、後方にいる田中にはそのうなじがはっきり見えており、「うなじフェチ」を公言する田中にとっては至高の光景なのかもしれなかった。

 こっそりと、朋香のうなじを背後から眺め続ける田中。