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天国の扉

怪しい媚薬の研究所11(太一&凜編11)

 数十秒後、太一がどこか申し訳なさそうな口調で凜に話しかけた。

「2度も中に出して……ごめんな」

「気にしないでね……」

「じゃあ……このままだと、また始めかねないから、そろそろ抜くよ」

「あ、うん、ごめんね……! 上に乗っかるみたいな体勢になっちゃってて……」

 慌てて身体を離す凜。

 シンボルから離れた花裂からは、白い液がどろっと流れ出す。

 最初に痛みを感じた際に、若干の出血が起きたようだったが、血が流れた痕跡は遠目からでは確認できないほどだった。

 太一の視線を感じ、凜は恥ずかしそうに股間と胸に手を当てて隠す。

 今の今まで、2度にわたって行われた性行為は夢か幻だったのか、と思わせるほどの恥じらいっぷりだ。

 太一もまた、気まずそうに凜に背を向けると、ぎこちない動きで後始末を開始した。

 部屋に持ってきたポシェットに、二人はティッシュやハンカチを入れていたので、それを使用して。

 一言も会話しないまま、黙々と後始末を済ませ、服を元通りに着る二人。

 そこでやっと、太一が口を開いた。

 凜は何か言いたそうな素振りを見せるも、言葉を飲み込む様子だったので。

「色々とごめんな。じゃあ、あの作業の続きをやろう。さっさと終わらせて解放されたいしな」

「うん、そうだね」

 気まずそうに視線をお互いからそらし、なぜか相手の目を見ない二人。

 薬の効果が切れたのか、欲情の波が一気に引いていった様子だった。

 そして、そうなってしまうと、恋人同士ではない二人にとって、さっきの行為がはなはだ気まずく、気恥ずかしく感じられたのかもしれない。

 二人は黙って席に戻ると、ペンを手に取り、作業を再開した。

 モニターのある部屋では、作業に戻る二人の様子を、莉央菜と宮元が観察していた。

 宮元は2度目の自慰を終え、後始末も済ませたところだ。

 莉央菜が宮元の方に顔を向けて言った。

「それじゃ、あの二人のもとへ行っておあげなさいな」

「あ、もういいんですか? まだ必死で回答を続けてくれてるみたいですが」

 莉央菜が苦笑して答える。

「宮元君も知ってるでしょ。あの作業は単なる口実だから、何の意味もないもの。肝心の仕事を終えてくれたのだし、無闇に拘束するのは、かわいそうでしょ」

「莉央菜所長がそうおっしゃるのであれば」

「じゃあ、お願いね。鈴木と田中も連れて、作戦Aね」

 これだけで、莉央菜の言わんとすることを把握した様子の宮元が、頷いて言う。

「かしこまりました、作戦Aですね。スプレーはどちらに?」

「鈴木と田中が持っているわ。焦る必要はないから、別にゆっくりでもいいけど」

「了解です。それでは」

 すっかり真顔に戻った宮元は、莉央菜に一礼してから、モニター室を後にする。

 そして、廊下に出た宮元は、鈴木と田中という名の部下を呼びに休憩室へと向かった。

 机に向かって作業中だった太一と凜は、突如聞こえたノックの音に驚き、手を止めた。

 驚きつつも、普段通りの声色で「どうぞ」と言う太一。

 すると、ドアノブがガチャガチャと何度か回転してから、宮元が入ってきた。

 すぐに気色ばんだ太一だったが、再度驚愕に襲われて押し黙る。

 宮元の背後から体格の良い、身長190センチは超えるであろう大男が、それも二人も宮元に続いて入室してきたからだ。

 この二人こそ、莉央菜の部下であり、宮元の同僚でもある鈴木と田中だった。

 間をおかず宮元が口を開く。

「お疲れ様です。どうやら、手違いにより、鍵がかかってしまっていたようですね。大変申し訳ない」

 幾分か冷静さを取り戻した太一が、他の不満をぶちまけようと、今にも口を開こうとする。

 しかし、次の瞬間、素早く駆け寄ってきた鈴木と田中が、謎のスプレーを太一と凜に向かって噴きかけてきたので、太一は言葉を発することすらできなかった。

 そのスプレーは単に二人を怯ませるためだけの意図だったようで、鈴木と田中は次の行動に移る。

 鈴木は太一の鼻と口を、田中は凜のを、それぞれガーゼのようなものでふさいだのだ。

 何か麻酔薬でも浸み込ませてあったのだろう、ものの数秒で、太一も凜も眠りに落ちるかのごとく、意識を失った。