スポンサーリンク
天国の扉

怪しい媚薬の研究所5(太一&凜編5)

 太一と凜が巻き込まれているこの実験は、「友達同士にも、新開発の媚薬が効くのか」というもので、だからこそ二人が選ばれたようだ。

 宮元が最初に「恋人同士ではないか」「元恋人でもないか」と尋ねていたのは、このためだった。

 そしてまた、「恋人同士でもない、友達同士の男女が、媚薬の力によって興奮し、性行為に及ぶというのなら、あわよくばその映像をゲットしてしまおう」という、ゲスな意図も、莉央菜にはあったということは間違いない。

 それを期待しているのは、宮元ら他の職員も一緒だった。

 宮元がモニターの二人を見ながら呟く。

「全く怪しまれてる様子はないようですね。ペットボトルに媚薬を仕込んだことに」

「いったんラベルを剥がし、媚薬を注入してから再び貼りなおしてあるのよ。気づくはずがないわ」

 莉央菜は相変わらず自信に満ち溢れている様子だ。

 宮元がなおも言う。

「でも、味でバレるかもしれないじゃないですか」

「それだって、『あれ、ちょっとおかしいな』って程度のことなのよ。大丈夫に決まってるわ。それに、もし万が一気づかれたところで、どうすることもできないでしょ。宮元君、忘れずにあのドアに施錠してくれたよね?」

「もちろんですよ」

 ドアノブをガチャガチャしていたのは、どうやらそのためだったようだ。

 余裕の表情をした莉央菜が、何度も頷いて言った。

「だったら、全く何一つ問題はないわね。あ、また飲んだわよ。うふふ、もうすぐ効果が出てくるはず。まだかな~。楽しみ」

 最後の方は、もはや独り言なのかもしれなかった。

 さらに莉央菜が続ける。

「さぁ、どうなるか、見てみましょ。言うまでもないけど、あの二人から電話がかかってきても、終わるまでは無視よ。あの作業か、もしくはセックスか、どちらかが終わるまで……ね」

 莉央菜の双眼が、どこか残酷さを帯びたきらめきをみせる。

 莉央菜と宮元は、期待感溢れる様子で、モニターを眺め続けた。

 ペットボトルのお茶を時折飲みつつ、回答を記入していた太一と凜だったが、徐々に様子が変わってきた。

 二人とも、脚をもじもじと動かし始めたのだ。

 お茶の中に仕込まれた薬が、その牙をむき始めたのだった。

 ふとペンを置き、立ち上がって言う太一。

「お手洗い行ってくる」

 そして、出て行こうとドアノブに手をかけたが―――。

 がちゃがちゃ。

 ドアノブがいたずらに回転するばかりで、ドアは開かなかった。

「え? 壊れたのか?!」

 焦る太一だったが、まるで外側から鍵を閉められたかのごとく、ドアはびくとも動かない。

 それもそのはず、仲の二人は知る由もなかったが、本当に外から鍵を閉められていたのだから。

「開かないの? じゃ、じゃあ、電話しよっか」

 太一と同じく、もじもじし始めていた凜だったが、太一よりは冷静だった。

 受話器を取ると、内線の0を押す凜。

 しかし―――。

 呼び出し音だけが空しく響くだけで、一向に電話に出る気配がない。

 ここで太一が怒りを爆発させた。

「なんで出ないんだよ! この緊急事態に」

 実際、二人にとっては緊急事態なのだ。

 太一の方は表情からはうかがい知れないが、凜は既に気づいていた。

 下腹部に迫る何とも言えない感覚は、尿意などではなく、性的興奮に似たものだと。

 しかし、太一の前で平静を装っているものの、その実、普段よりもテンパっている凜は、例のお茶が原因だとは気づくことができなかった。

 既に凜の花芯は花蜜を滲み出させてしまっている。

 もちろん、凜本人もそれに気づいていた。

 匂いで太一にバレてしまうと大変なので、必死にこらえようとするが、意志の力でどうこうできるものでもないのは凜本人にも明白だ。

 それでも、どうにか耐えようとする凜。

 脚をもじもじさせながら。

 苦悶の表情を必死に押し隠す凜の額には、大粒の汗が光っていた。

 エアコンの利いた室内でありながら。

 一方の太一も同じく汗だくだった。

 汗の理由は、凜と同じだろう。

 あくまでもさりげなさを装って、悪態をつきながら再び着席する太一。

「まったく、最悪だな! とりあえず、さっさとこの作業を終わらせて、もう一度電話を鳴らすぞ。そうすれば、『とっくに作業が終わってるのに、何度電話しても出ないじゃないか』と文句の一つも堂々と言えるし、詫び料もいくらか追加してもらえるかもしれないな」

 そう言って、身体を揺らしつつも、どうにか耐えて、作業を続行しようとする太一。

 だが、凜の方はとっくに限界が来ていた。

 全く集中できなくなっており、声こそ漏らしていないものの、手の代わりに両脚をひっきりなしに動かしている。

 既に凜は、太一も自分同様に苦しんでいることを悟っており、また、太一の方も自分の様子に気づいているのだろうという確信を持っていた。

 実際、凜の方からは見えないが、太一の股間は正直な反応を示していたのだ。

 凜の反応は表面上は分かりにくいものの、とっくに下着をびしょびしょにするほど濡れており、自分の花蜜の香りに本人が気づくほどだった。