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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ63

 陸翔が言葉を続ける。

「さっき言ったように、偶然、菜那美があの寝言を言ってくれて、本当に助かった。あの時は耳を疑ったぞ。エッチのときとか、激しく俺を求めてくれるのは、気持ちいいからだろう……とばかり思ってたからな。まさか、俺のことを好きになってくれてるとか、全然思わないし」

「陸翔……いつから、私のことを……想ってくれてたの?」

「その質問は、全く同じのを菜那美に返したいところだ」

 陸翔が急に元気を取り戻した様子で、菜那美に訪ねた。

 菜那美は、小学3年生のときの、あのお化け屋敷での思い出について、包み隠さず陸翔に説明する。

 陸翔は真剣に聞いてくれていた。

「あのとき、お化け屋敷で、守ってくれて……。嬉しくて……ドキドキして……。優しい言葉もいっぱいかけてもらえたし……」

 思い出すだけで涙ぐみそうになる菜那美。

 陸翔が再び相好を崩して言った。

「そっか、そんなことがあったのか。小3のときのことなんだな、それ。じゃあ、俺の勝ち! 俺は、前に話した、例の小1の事件時に、菜那美のことが好きになったからな。長椅子を運ぼうとしたときに、クラスメイトからチクリと言われ凹む俺を、菜那美が擁護してくれたあの時からな。だから、菜那美が言ってる、そのお化け屋敷のときには、俺はとっくに菜那美のことが好きだったわけだ。だから、『手をつなごう』とか、やけに積極的な言動を俺がとっていたわけだな」

「ああ、そうだったんだ! うぅ……じゃあ、もっと早く気持ちを伝えればよかった……」

 深い後悔にさいなまれ、うつむく菜那美。

「それは、俺だって同じだ。こないだ、エッチの後の寝言で、菜那美が俺のことを想ってくれてると知った瞬間から、俺は『もっと早く言えばよかった』と常に後悔してるぞ。ただ、今日、告白して受け入れてもらえるかどうかについては、かなり心配していたけどな。『あれは所詮、寝言なんだし。ひょっとしたら、夢の中で、普段は思いもしないことを口走っているのかも』って考えも浮かんだし。だが、絵莉花も同時に告白するということで、俺も勇気を出せた。ダメならダメで、絵莉花を応援しようって思ってたし」

「そうだったんだ……」

「そんな悲しげな顔をするなって。こうして、付き合うことができたんだしな」

 明るく言う陸翔に、菜那美も笑顔を取り戻した。

 陸翔が続ける。

「しかし、本当に……菜那美が俺を好きでいてくれてたなんて、予想外だったぞ。俺はずっとずっと菜那美だけを想い続けてきたんだが、まさか菜那美も同じ気持ちでいてくれたなんて、気づかなかった。7月始めごろ、菜那美が痴漢に遭った日、部屋でさりげなく『お前が俺のことを男として見てないのは知ってるけど』って言い放って、こっそり菜那美のリアクションを見てたんだが……その部分を綺麗にスルーしただろ。内心、少しショックだったぞ。『ああ、やっぱ、男としては見られてないんだな』と分かって。まぁ、前々から、そうじゃないかとは思ってきてたし、大ダメージってほどでもなかったが」

「あ、それ、覚えてる! でも、そこで『男性として見てる』だなんて、私から言えないじゃん……。あのときは、本当に、陸翔が絵莉花さんとお付き合いしてると思ってたし……」

「それもそうか……。とりあえず、ごめんな、色々」

 菜那美の目を見て、謝ってくれる陸翔。

 菜那美は「私こそ」と答えた。

 そうこうしているうちに、二人は自宅付近までたどり着いていたようだ。

 陸翔が言う。

「今日はせっかく、付き合うことができた記念の日なんだし、俺の部屋に寄ってってくれないか? 幸い、まだおふくろも帰ってこないし」

「うん、もちろん!」

 菜那美はもちろん二つ返事だ。

 二人は連れ立って、陸翔の家の中へと入った。