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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ61

「着いたよ。ここが言ってた場所」

 小さな公園までたどり着くと、絵莉花が言った。

 そこにはカップルらしき2人組しか人の姿はないようだ。

 絵莉花はさらに、公園の奥へと歩いていく。

 三人が後に続いた。

 そして、絵莉花が立ち止まり、夜空を指差して言う。

「多分、あちらの方に、花火が見え……」

 だが、絵莉花が言い終わる前に、その指がちょうど差している先へ、さっきのよりは大きい花火が上がった。

 少し遅れて、ドーンという音も響く。

 全員、思わず空を見上げていた。

 智孝が愉快そうに言う。

「上手い具合に、ちょうど絵莉花が指差している辺りへ花火が上がったね。まるで、絵莉花が打ち上げたみたいに」

 絵莉花は照れたような笑みを浮かべて言った。

「大体、どちら方面から上がるのかぐらい、事前に調べてるから……。さあ、そろそろ始まるよ」

 そして、絵莉花の言う通り、花火大会が本格的に開始されたようだった。

 暗闇と、草むらから響く虫の音が包み込む小さな公園を、色とりどりの光が染めていく。

 公園にも街灯は備え付けられていたものの、四人がいる場所とはかなり距離があり、花火を見る妨げにはならなかった。

 次々上がる花火に、四人や、少し離れたところにいるカップルが、思わず感嘆の声をあげる。

 菜那美も夜空を染める花火に見とれていたが、時々ちらちらと隣にいる陸翔の方も確認した。

 陸翔は晴れやかな表情で、夜空を見上げている。

 その横顔を、照らしていくたくさんの花火。

 菜那美は再び夢の中にいるかのような、ふわふわした心持ちになりつつ、夜空と陸翔とを見比べて、至福のひとときを過ごしていた。

 それからしばらく、花火たちの競演が続き、やがて小休止が訪れた。

 そこそこ大規模な花火大会で、1時間以上も続く予定なので、ちょうど真ん中あたりに休み時間が設けられているのだ。

 再び暗闇に包まれる公園で、四人は楽しいおしゃべりをして過ごした。

 すると、花火が再開され、再び四人は空を見上げる。

 眩い光が、夏の星空に舞う幻想的な光景を、四人はこころゆくまで堪能した。

 やがて、花火大会は派手なフィナーレを迎えた。

 華々しく連射される花火に、思わず歓声をあげながら、たっぷり楽しんだ四人。

 そして無事に終わると、四人は帰り支度を始めることに。

 全員が大満足の表情だった。

 その理由としては、「花火が綺麗だったから」ということだけではないだろう。

 先ほどの告白が無事成功したことも大きな理由だということは、言うまでもなかった。

 おしゃべりしながら、駅前まで帰りついた四人は、そこで解散することに。

 もちろん、菜那美と陸翔、智孝と絵莉花、という誕生したばかりのペアで帰る、ということだ。

 陸翔が言った。

「絵莉花、智孝、本当にありがとな。楽しかったぞ」

 絵莉花が笑顔で答える。

「こちらこそ。陸翔君が協力してくれなかったら、こんな風になってないから、本当に感謝しているよ。トモ君も菜那美さんも本当にありがとう!」

 すると今度は智孝が口を開く。

「こちらこそ、ありがとうね。僕は何もしてないけど。はぁ……絵莉花が僕の恋人になってくれただなんて……これはやっぱり夢なんじゃないかな」

 他の三人は笑顔で口々に「夢のはずがないでしょ」とつっこんだ。

 そして菜那美も言う。

「みんな本当にありがとう。智孝君が、このダブルデートを提案してくれたお陰だし、『何もしていない』なんてことはないよ。これからもお友達として、よろしくね」

「菜那美ちゃんは、つくづく優しいなぁ。付き合うふりをしているときから感じてたけど。僕は、かなり菜那美ちゃんに救われたよ。こちらこそ、今後ともよろしく」

 菜那美と智孝は笑い合う。

 それを笑顔で見つめる陸翔と絵莉花。

 絵莉花が菜那美に言う。

「菜那美さん、これからも仲良くしてくださいね」

 そこで智孝が口を挟んだ。

「ところで、なんで絵莉花と菜那美ちゃんは、いつまでも敬語なの?」

 絵莉花と菜那美は顔を見合わせて、「あ」と同時に言う。

 二人とも柔らかな表情のまま。

 陸翔がフォローするかのように言った。

「まぁ、そこらがこの二人らしいところだろ、智孝。菜那美も礼儀正しいところがあるし。で、絵莉花と智孝には申し訳ないけど、俺は早く菜那美と二人っきりになりたいから、そろそろいいか?」

 智孝が楽しげな笑顔で答える。

「確かに。二人らしいかも。そして、そうして歯に衣着せぬ物言いもまた、陸翔らしいかも」

 絵莉花も「確かに」と何度も繰り返して、笑顔で頷いていた。

 苦笑して言う陸翔。

「なんだよ、二人して納得して。まぁ、俺のことはどう思ってくれてもかまわないぞ。さて、そろそろお開きにしようぜ。二人ともホントにありがとな。またな」

 他の三人も口々に、「ありがとう」と「またね」の挨拶を交わす。

 そして、2つのペアに分かれて、歩き始めた。