スポンサーリンク
天国の扉

セフレの彼は幼なじみ57

 菜那美と陸翔が駅前広場に到着すると、すぐに智孝と絵莉花の姿を見つけた。

 素早く駆け寄って合流する二人。

 智孝は陸翔同様に普段着だったが、絵莉花は浴衣を着ていた。

 それは白色で、淡い青や赤の模様が入った、落ち着いた浴衣だ。

 菜那美は「夕凪さんのイメージによく合っている」と思った。

 また、絵莉花が着けている、淡いピンク色の髪飾りも「よく似合ってるなぁ」と思う菜那美。

 すぐさま、陸翔が言う。

「絵莉花にぴったりな感じの浴衣だな。似合ってるぞ」

 自分と同じ感想を言われ、やや驚く菜那美だったが、機を逸すことなく「素敵な浴衣ですね」と言った。

 笑顔でお礼を言い、菜那美の浴衣を褒めてくれる絵莉花。

 智孝も「菜那美ちゃん、素敵な浴衣だね。よく似合っているよ」と言ってくれた。

 お世辞だろうとは思いつつも、菜那美は嬉しくなる。

 すると陸翔が言った。

「どうやら、本当にわだかまりもないみたいだな。菜那美と智孝」

 絵莉花も、心配そうな視線を菜那美と智孝へと向けている。

 智孝が答えた。

「だから、別にケンカ別れしたわけじゃないって言ってるだろ。僕たちは今でも友達だって。ね、菜那美ちゃん」

「うん、もちろん!」

 首肯する菜那美。

 絵莉花は安堵したような微笑みを浮かべた。

 絵莉花と同じ気持ちらしく、陸翔が言う。

「ちょっと安心した。これから四人で行動するわけだからな」

 智孝が苦笑して言う。

「大丈夫だってば。さて、時間は少し早いけど、そろそろ出発しよっか」

 三人が頷いて同意する。

 そして一向は夏祭りの行われる神社付近へ向けて、歩き始めた。

 空には夕方の気配がまだ少しも感じられない中、一向は夏祭りのある通りへと到着した。

 すでに出店が並んでおり、多くの人で賑わっている。

 皆、一様に楽しげな表情なのが、菜那美には印象的だった。

 夏祭りや花火大会が大好きなので、思わずうきうきし始める菜那美。

 陸翔とのセフレ関係が終焉を迎えることに関する悲しみもしばし忘れて、菜那美は夏気分に浸っていた。

 四人はそれから、様々な出店を回って、存分に楽しんだ。

 わたあめやチョコバナナ、たこ焼きなど定番の食べ物を食べたり、射的などで景品をゲットしたりしながら。

 男性陣は、得た戦利品を、菜那美と絵莉花の二人ともに渡しているのが、菜那美の印象に残った。

「気配り上手だなぁ、陸翔も智孝君も」と心の中で思う菜那美。

 そして、四人はしっかり、神社へのお参りも済ませた。

 智孝の話によれば、絵莉花と智孝もほぼ毎年どこかしらの夏祭りに出ており、ここにも何度も来たことがあるらしい。

 四人は「またみんなで来たいね」みたいなことを話していた。

 神社から出ると、すでに夕暮れの情景が広がっていた。

 セミの声も少なくなったように感じられる。

 気温もぐっと涼しくなっており、菜那美は過ごしやすく感じていた。

 智孝が三人を振り返って言う。

「それじゃ、そろそろ移動しようか」

 嬉しそうに絵莉花が答えた。

「うん。花火大会だよね」

 つられて菜那美と陸翔も笑顔になり、「行こう」と賛同する。

 人波でごったがえす夏祭りの通りを抜け、四人はおしゃべりをしながら、花火を見る場所へと向かった。