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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ50

 二人っきりになると智孝が、菜那美をベンチまで連れていった。

 そして並んで腰掛けると、即座に尋ねてくる智孝。

「菜那美ちゃん、その後、どう?」

「うーん、特にこれといって報告するようなこともないかな」

「そっか、そりゃそうだよね……。僕も同じく」

 二人は同時にうつむく。

 智孝が続けた。

「とりあえず、海へも一緒に行けそうだし、それも一つの楽しみとして、乗り切っていくしかないかなぁ……」

「あ、ありがとうね。うまく、約束を取り付けてくれて」

「いえいえ。僕だって必死だから」

 苦笑しつつ言う智孝は、言葉を続ける。

「菜那美ちゃんの存在にかなり助けられてるなぁ。お互い、きついけど、いつか事態が好転すると願って頑張ろうね」

「うん、ありがとう! 私も智孝君に助けられてばっかり」

「そう言ってもらえるとありがたいよ。さてと、飲み物でも買ってこようか?」

「あ、じゃあ、一緒に行く!」

 そして二人は自販機へと向かった。

 その後、再び四人は合流し、しばし遊ぶことに。

 楽しい時間を過ごした後、四人は帰路についた。

 陸翔と一緒に自宅前まで帰ってきた菜那美は、すぐさま言った。

「あ、じゃあ、お邪魔するね。お台所をお借りしないと」

「おう、ありがとな。じゃあ、遠慮なくあがれよ」

 そして、二人は陸翔の家へと入っていった。

 まっすぐ台所へと向かい、冷蔵庫を開ける菜那美。

 ジャガイモやタマネギ、ニンジンなどが目に入ったので、陸翔に尋ねた。

「お肉とカレー粉があるなら、カレーにしよっか? たしか、陸翔はカレーが大好きだったよね」

「おお、カレーは久々だな! カレー粉はそっちの棚にあるし、肉だけ買いに行くか!」

「何かサラダもあった方がいいんじゃない? せっかく、キャベツやトマトもあるから」

「じゃあ、それも頼む! すまねぇなぁ」

「全然気にしないで!」

 菜那美は「陸翔のために料理ができる」ということだけで、幸せな気持ちになっていた。

 しかし、突然、陸翔が表情を曇らせて言う。

「でも、トマトやナスは、俺の分には使わないでくれよ。菜那美が全部消費しちまってくれ」

 そういえば陸翔はトマトとナスとグリーンピースが嫌いだったっけ、と思い出す菜那美。

「ここにあるトマト、私が全部食べちゃっていいの?」

「ああ、もちろん。置いといても腐らせるだけだしな。食べてもらった方がありがたい」

「それなら、お言葉に甘えて。じゃあ、買い物に行こっか」

 そして二人は必要な食材の買出しへと向かった。

 買い物から帰ると、早速料理に取り掛かる菜那美。

 元々料理好きな上に、「陸翔に食べてもらえる」という嬉しい見通しも重なって、菜那美にとっては楽しい時間となった。

 その後、完成したカレーとサラダを、陸翔と共に食べた菜那美。

「すっげー、美味しい」と言いながら、美味しそうに食べる陸翔を見ているだけで、菜那美は幸せな気分になれた。

 いつもこんな風に、陸翔と差し向かいで食事できたらいいのに、と思う菜那美。

 そんなことは不可能に近いと知りながら。

 楽しい食事時間はあっという間に過ぎ去り、後片付けを終えると菜那美が言った。

「じゃあ、そろそろ……」

 菜那美としては、ずっと陸翔の家で過ごしたい気持ちでいっぱいだったのだが、長年の付き合いから、陸翔の疲労が濃いことを見てとって、早めにひとりにさせてあげたいと思ったからだ。

 ところが、「色々とありがとな」と前置きしてから陸翔が尋ねてくる。

「何か用事でもあるのか?」

「今日は特にないけど」

「だったら、そんなつれないこと言うなよ。うちには大して面白いことも何もないけど、ゆっくりしていけって」

 そう言われると、帰る気持ちが薄れてくる菜那美だったが、それでも自分の本意を正直に伝えることにした。

「でも、陸翔、ものすごく疲れてるみたいだし……。大丈夫?」

「ま、たしかに疲れたことは疲れたな。仕方ない、この後ゆっくり休むか。明日とあさっては、ちょっと忙しいから無理だが、その次の日くらいに、またエッチするか? 菜那美の予定はどうだ?」

「あ、うん、私は平気」

「だったら決まりだな」

 嬉しそうに言う陸翔。

 菜那美も途端に、その日が楽しみになってきた。

 陸翔はゆっくり立ち上がって言う。

「玄関先まで見送るよ。ホント、今日はありがとな。厚かましいけど、また何か料理を作ってくれないか? 正直、菜那美の方が、おふくろや絵莉花より上手だし」

 飛び上がりかねないほど嬉しくなった菜那美は、「うん、もちろん!」と答えた。

 そして、陸翔と共に玄関へと向かう菜那美。

 挨拶を交わし、菜那美は名残惜しい気持ちを隠しながら、陸翔の家を出た。