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天国の扉

セフレの彼は幼なじみ40

「なぁ、菜那美。嫌じゃないか、毎回、中に出されて」

 唐突に尋ねてくる陸翔。

 菜那美はすぐに答えた。

「ピル飲んでるから、大丈夫だよ」

「いや、それはそうなんだが……別の意味でも聞いてる。だって、身体の中に、俺のを出されてるわけだろ。一応、毎回拭いてはいるけども、すぐには中まで洗えてないし。今だって、さっき俺が出したのが、そのままなんだよな」

 不安そうな表情の陸翔。

 菜那美は表情を和らげて答える。

「うん、今もお腹の中、あったかいよ。でも、全然嫌じゃないから。その……すごく気持ちいいし……。いっぱい出してもらえて」

「そ、そうか」

 言いつつ、少し身体を動かす陸翔の股間は、再び反応を始めていた。

 それをごまかすかのように、陸翔が言葉を続ける。

「それで、言いづらいんだが……俺とセフレの関係を続けてる間は、他の男とやらないでくれるか?」

「うん、もちろん!」

 勢い込んで即答する菜那美。

 実際、菜那美は陸翔以外の男性と性交したいとは全く思わず、「一生、陸翔だけ」と心に決めていたので。

 憂えた表情の陸翔は、さらに突っ込んで言う。

「智孝とも、だぞ」

「うん、もちろん」

 勢いよく答えてしまってから、菜那美は「あ、まずかったかな」と冷や汗をかいた。

 もし、智孝との関係が本当の恋人関係じゃないとバレてしまっては、ダブルデートの計画も台無しだ。

 しかし、菜那美にとって幸いなことに、陸翔は少しも怪しむ様子を見せずに言った。

「そっか、安心した。いや……やっぱり、他の男も菜那美と交わってると思うと、俺はやりにくいからな。でも、お前にだけこんな条件を押し付けてるわけじゃないぞ。俺だって、絵莉花とはセックスどころかキスすらしていないからな。というか、そもそも手すら繋いでいないな」

 苦笑する陸翔。

 菜那美は少し驚いて言った。

「え? そうなの?」

「前も言ったみたいに、絵莉花はすっごいお嬢様だから。多分、絵莉花の家を見ると、でかさにびっくりすると思う。俺がまさにそうだった。思わず帰りそうになったからな。『手ぶらで来たけど、マジで大丈夫か』って不安な気持ちにさせる、そんな家だ」

 愉快そうに笑いながら陸翔は言う。

 菜那美は目を丸くして言った。

「そ、そんなにすごいんだ……」

 内心、「そして、そんな夕凪さんを、陸翔は大好きなんだなぁ……」と暗い気持ちになる菜那美。

 菜那美は、どうあがいても勝てそうにない思いがしていた。

「ちなみに、毎日の登下校も、でっかくて黒い車で送り迎えしてもらってるぞ。グラサンかけた、いかつい運転手に。なんでも、電車に乗った経験すらないとか……」

「えええ?!」

 菜那美は言葉も出なかった。

「なんか、俺たちとは住む世界が違う感じだろ」

「う、うん……。たしかに……。でも、二人は恋に落ちたんだね……」

 またしても、言ってしまった後に「まずい」と思った菜那美。

 自ら話題を、触れたくないところへと持っていってしまったことを感じ、菜那美は後悔した。

「ま、まぁな」

 陸翔はそう答えたっきり、視線を泳がせて押し黙る。

 二人の間を気まずい空気が流れ始めたので、菜那美が慌てて話題をそらした。

「そういえば……あさってから夏休みだよね」

「おう、そうだな。そして、この家には俺だけになって、菜那美とやり放題ってわけだ」

「う、うん……。よろしくね」

 照れてうつむく菜那美。

 菜那美はハッと気づいて言った。

「そ、そういえば、おばさんに挨拶しなくちゃ。また勝手に上がり込んじゃってるし」

「菜那美はいつも律儀だなぁ。じゃあ、リビングに行くか」

 そう言って立ち上がる陸翔。

 菜那美は「うん」と答えてから、同じく立ち上がると、ドアへ向かう陸翔に続いた。

 その後、陸翔の母に挨拶をしてから、菜那美は自分の家へと帰ることに。

 帰り際に、玄関先で陸翔が言った。

「明日は終業式だけのはずだけど、俺は午後から部活の練習がみっちりあるし、あさってにしようぜ。水着も買うんだろ?」

「うん、ありがとうね。じゃあ、また明日」

「おう、また明日な」

 そして、菜那美は陸翔の家を辞去した。