スポンサーリンク
天国の扉

セフレの彼は幼なじみ34

 その夜、自室でくつろいでいる菜那美のスマホが鳴った。

 見ると陸翔からの着信なので、自然と心が浮き立つ菜那美。

 菜那美はすぐに電話に出た。

 挨拶のやり取りの後、陸翔が単刀直入に切り出す。

「今日は悪かったな」

「気にしないで」

「埋め合わせというわけでもないんだけど、明日帰ってから、俺んちでやらないか? おふくろの帰りが少しだけ遅い予定だから。帰ってきたら、そこで終了せざるを得ないけどな」

「うん、よろしく!」

 大喜びで承諾する菜那美。

 明日のことを想像しているだけなのに、菜那美は少し濡れてきたことを感じていた。

 少しだけ恥ずかしくなる菜那美。

 陸翔は「じゃあ、また明日な、おやすみ」と言って、菜那美の「おやすみ」を聞いてから電話を切った。

 菜那美は早くも、明日のことが楽しみで、何も手につかなくなっている。

 いつも通りピルを飲むと、菜那美は早めに寝ることにしたのだった。

 翌日の昼休み、再び智孝に呼び出された菜那美は、また校舎裏へと来ていた。

 午前中、休み時間のたびに、明子を始めとするクラスメイトからの質問攻めを受けた菜那美。

 全ての質問が、智孝との交際に関するものだったことは言うまでもない。

 菜那美は「まだ付き合ったばかりだし」と言って、どうにか逃れていた。

 もっとも、この答えは決して嘘ではなかったのだが。

 並んで腰を下ろすと、智孝が聞いてきた。

「今週の土曜、つまり夏休み2日目なんだけど、空いてるかな?」

「うん、大丈夫だよ」

「早速、ダブルデート第1弾といこうかと思って」

「え?!」

 智孝のあまりの行動の早さに、菜那美は開いた口がふさがらなかった。

 まさかここまでスムーズに事が運ぶと思ってなかったのだ。

 智孝が苦笑しながら言った。

「いきなりでびっくりした? 昨日あれから、5時限目終わりの休み時間に、この交際を開始したことを絵莉花から早くも突っ込まれてね。まさかあんなに早く広まると思ってなかったから驚いたよ。で、そこでは当たり障りのないことを話すだけだったんだけど、夜一人で部屋にいると無性に寂しくなって。で、絵莉花に電話して、もう早速、『ダブルデートしてみない?』と誘ってみたんだ。すでにそこで絵莉花はかなり乗り気でね。『陸翔君に聞いてみる』って言ってくれて。で、今朝、絵莉花が言うには『陸翔君もOKだって。日取りはどうしよっか。私たちは今週の土曜が空いてるけど、もし都合が悪いなら別の日でも』ってことで、とんとん拍子に話が進んだわけ。僕もその日は大丈夫だったんだけど、菜那美ちゃんも問題なしってことで、その日でいいかな」

「うん、もちろん。ホントにとんとん拍子だね」

「うんうん、言いだしっぺの僕もびっくり」

 智孝は苦笑し続けているが、そこにはやや嬉しさも垣間見えた。

 むろん、菜那美も同じで「ダブルデートとはいえ、陸翔と一緒に出かけられる!」と思うと、必然的に頬が緩む。

 智孝が話を続けた。

「それで、行き先なんだけど。絵莉花と僕は毎年、近所のプールへ行ってて。そこでもいい? 夏休みになるとけっこう人で混み合うんだけど」

「うん、いいよ! 多分そこじゃないんだけど、室内プールへは、陸翔と私も毎年行ってるから。私、けっこう泳ぎは得意で」

「おぉ~、絵莉花と僕も大得意。陸翔には負けるけどね」

「ふふ、そうだよね。陸翔はいつも水泳大会で一番だし」

 陸翔は運動全般を得意としているのだが、とりわけ水泳とサッカーに関しては、小中学校時代から抜きん出て好成績をおさめていた。

 菜那美もかなり泳ぎは上手な方なのだが、陸翔の前ではかすんでしまうほどに。

「まぁでも、例年の混み方を考えると、思いっきり泳げるようなスペースはほとんどないんだけどね」

 残念そうに智孝が言う。

「ああ、私たちが行ってる室内プールもそうだよ。やっぱり、どこでも混んじゃうよね」

「仕方ないかな。でも、一応行き先と日取りはそこで仮決定ってことで。絵莉花と陸翔の間では話がついているみたいだし、多分問題ないはず。正式決定したら、また連絡するね」

「ありがとうね。智孝君のお陰で、また陸翔とお出かけできることになって嬉しい!」

「いえいえ、僕だって絵莉花と一緒に出かけたいわけだし、同じ気持ちだよ。週末、楽しみだね」

「うん!」

 心がうきうきしてきて、夏休みが待ちきれなくなってきた菜那美。

 その後は、たわいもないおしゃべりをして、二人は昼休みを過ごした。